Never Ending Re-InventionKaizen Platform オフィシャルブログ

〜Kaizen Growth Drive 2016〜
申し込み数が3倍以上になったケースも! 業界をリードする3社は、いかにしてUI改善を成功させたのか?

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2016年11月10日。Kaizen Platformは企業の事業責任者やマーケティングリーダー向けのイベント「Kaizen Growth Drive 2016」を開催した。本ブログでは、イベントの内容を全3回に分けてお伝えする。

第2回目は、パネルディスカッション「UI改善は劇的な成果、変化を生み出すのか? 〜業界リーダーによる事例パネルディスカッション」をレポート。UI改善において劇的な成果を上げた企業の改善施策担当者を招き、成功の秘訣を伺った。

登壇いただいたのは、株式会社スタッフサービス・ホールディングスの神谷亮介氏(事業部を横断した全事業のデジタルマーケティング領域を担当)、株式会社IDOMの中澤伸也氏(中古車買取・販売のGulliver事業等のマーケティング責任者)、株式会社オークローンマーケティングの石倉知巳氏(Shop Japan公式ECサイトおよびモールサイトの運営責任者)の3名だ。

3社の持つどのような要素が成功のカギとなったのか? また、良い改善活動とはそもそも何か? 今回は、その秘密を紐解いていく。

UI改善により、顧客体験はどう変わったのか?

今回ご登壇いただいた3社は、UI改善によって高い成果を上げた企業ばかりです。お話の中には、改善施策のヒントがたくさん詰まっているかと思います! まずは、「UI改善により、顧客体験がどのように変化したか」について簡単にご説明いただけますか? 株式会社オークローンマーケティングの石倉さんからお願いします。

【Shop Japan】ユーザーが次にどのような操作をすべきか、ファーストビューで理解させる

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石倉:例として挙げたいのは、弊社が運営するShop Japan公式ECサイトで販売している「スレンダートーン」という商品です。これは、低周波で上腕や腹筋などを鍛えるというもの。この商品ページのUI改善を行い、購入完了の割合が「100⇒154」に向上しました。(元の数値を100として計算)

実施した施策としては、「男性用」「女性用」という性別ごと、そして「腹筋用」「上腕用」といった部位ごとにシンプルに画面の枠を分割したんです。Webサイトを閲覧したユーザーが次にどのような操作をすべきか、ファーストビューで理解できるように工夫しました。

ユーザーが次に取るべき行動がわかりやすくなるだけで、こんなに劇的な効果があるのですね! 株式会社IDOMの中澤さんはどうでしょうか?

【Gulliver】申し込み数アップのため、「簡単さ」と「ユーザーベネフィット」をアピール

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中澤:弊社は、「Gulliver」という中古車買取・販売サービスを運営しています。その査定申し込みページでUI改善施策を行ったところ、査定申し込みの数が「100⇒297⇒378」に向上しました。

どのような方針で、UI改善を実施していたのでしょうか?

中澤:中古車の買い取り査定LPの場合、サイトへの流入のほとんどは検索エンジンからです。その経路から流入したユーザーを「いかに迷わせず、瞬間的にコンバージョンさせるか」を重視しました。

具体的には、「45秒」という時間軸のキーワードを入れることで「簡単に入力ができる」という印象を与え、さらに「高額査定」というユーザーベネフィットに直結した文言を入れることでユーザーの査定への意欲を高めています。

ユーザーがどのような目的でWebサイトにやってくるかを考えることが、本当に重要なのですね。最後に、株式会社スタッフサービス・ホールディングスの神谷さんはいかがでしょうか?

【スタッフサービス】ユーザーの持つ、登録への“温度観”を的確に捉える

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神谷:弊社は「スタッフサービス」という人材派遣登録サービスを運営しています。UI改善を行ったことで、スタッフ登録の数が「100⇒127」へと向上しました。

改善前のページは、登録方法説明のページを経由した後に「登録会のご予約」「オンラインでご登録」を選ぶ構造になっていました。改善後のページでは、ファーストビューですぐにその2つを選べるようにしたんです。

サイトを訪問するユーザーは「職を変えたい」という目的は大きく変わりませんが、どのくらいの温度感で仕事を探しているのかは異なっています。つまり、「直接話を聞きにいきたい」という方もいれば、「まずは登録だけをしてみたい」という方もいるわけです。温度感の異なるそれぞれのユーザーに対し、「自分のニーズを満たしてくれそうだ」という印象を与えられるように工夫しました。

社内の抵抗勢力には、「数字」と「想い」を丁寧に説明すべし

株式会社スタッフサービス・ホールディングスの神谷亮介氏

―ABテストを推進していく際に、社内の様々な部署との折衝が起こり、「抵抗勢力」のような状態になるケースもあるかと思います。それをどう乗り越えましたか?

神谷:確かに、ありましたね。社内のある部署から、「成果が出るかわからないのに、サイトデザインを変えないでほしい」と、ABテストを否定する声が上がったことがありました。その部署の方々を説得しABテストをスタートするまで、実は半年近くかかったんです。根気のいる作業でした。

そういった方々を説得する際には、「どうしてわかってくれないんだ」と感情的になってはいけません。他社の事例で具体的にどれくらい成果が出たのかという、改善活動の根拠となる「数字」と、なぜこれをやるのかという「想い」をきちんと説明して、不安を取り除いてあげることが重要です。

中澤:システム改修が必要なケースもあるので、情報システム部の方々からABテストが嫌がられるケースは多いです。その方々の協力を得ていくためには、定例会などで「改善施策の結果をフィードバックする」ということが必要だと考えます。どういった改修をして、どれくらいの利益効果があったのか。ユーザーの行動がどう変わったのかといったことを。

具体的な数字が見えることで、情報システム部の方々も売り上げに対する意識を持ち、ABテストが必要な施策だと理解してくれるようになるんです。その信頼関係が形成されてくると、逆にかつては抵抗勢力だった部署から「こういうツールもあるみたいだよ」「こんなこともできるかも」とアイデアを貰えるようなことも起こってきます。

株式会社IDOMの中澤伸也氏株式会社IDOMの中澤伸也氏

 

一度走り出したら、生半可なことではやめるな! 改善は一日にして成らず

成果を出し続けるために、大事にしていることはありますか?

中澤:改善活動においては、「環境変化へ適応すること」が重要です。例えば、競合他社が自社のUIを真似てきたり、ユーザーの興味関心が変化したりした場合、一度上手くいったUIが今後も上手くいくとは限りません。だからこそ、その状況に対して継続的に適応し続ける姿勢が求められます。

そして、適応していくためには、とにかくテストの数を重ねることが重要だと思います。どのUIにした場合にユーザーの反応が良くなるかは、事前に予測ができません。結局はユーザー自身に聞くしかないんです。だからこそ、とにかくテストし続けて少しずつ改善していくしかありません。

石倉:私も中澤さんと同意見で、テストの回数をたくさん重ねることが重要だと考えます。それを実現するために弊社では、「メンバーに権限を与えて、自分が良いと思う施策を積極的にやらせてみる」という方法を徹底してきました。

この方法を採ることにより、メンバーそれぞれがUI改善について自発的に考えるようになります。「次は何をブラッシュアップしようか?」「今度はこの数字を見ないといけないよね」といったように。チーム内に文化が醸造されてくるんです。

株式会社オークローンマーケティングの石倉知巳氏

神谷:私も系統としては似た意見になってしまいますが、とにかく途中でやめないことが大事かなと。UI改善をやったことのある方はわかると思いますけれど、成果が出るまでにはかなり多くの失敗をするものなんです。でも、それを乗り越えなければ成果は表れてきません。

だからこそ、一度走り出すことを決めたら、生半可なことではやめない。そういう覚悟が必要なんじゃないでしょうか。

数えきれないほどの失敗が、たった1つの成功を導く

成果だけを見れば、順風満帆であったかのように思える3社の改善活動の取り組み。しかしそのお話しからは、成功を導き出すために絶え間なくトライアル・アンド・エラーを繰り返す姿勢がうかがい知れました。発明の神様エジソンが残したと言われる「失敗は成功の母」という金言。それは、改善活動においても当てはまるようです。

「Kaizen Growth Drive 2016」の内容をお伝えしてきた本レポート。次回の第3回では、プロジェクトセッション「UI改善を続けると何が起きるのか?〜ヤフーの2年にわたるしくじりと成功の道のり」、そしてKaizen Platform プロダクトロードマップ「企業はどのように顧客体験改善に取り組むべきか?」をお送りします!