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グロース ハッカー アワード2017
“うちのママはグロースハッカー!” 
官民共同の子育て支援プロジェクトから生まれたママグロースハッカーというはたらき方

アワード会場でインタビュー取材中の実子さんと二人のお子様。会場にはベビーシッターさんと託児ルームが準備され、親子でイベントを楽しんでいた。

2017年3月14日。Kaizen Platform, Inc.は「21世紀の新しい雇用と働き方の創出」をテーマに『グロース ハッカー アワード 2017』を開催した。本ブログでは、その内容をセッションごとにお伝えしていく。

今回は、「グロースハッカー人材の育成、新しい働き方実現のプロジェクトの成果発表」のセッションのレポートになる。このセッションでは、福岡市の創業特区プロジェクトとして2015年にスタートした「Growth Hack for Women」プロジェクトとそのプロジェクトを通じて誕生したママグロースハッカーの活躍とはたらき方について紹介する。

Growth Hack for Womenプロジェクト立ち上げの背景

株式会社リクルートジョブズ:宇野氏

セッションの冒頭、リクルートジョブズの宇野氏より、リクルートグループ横断のiction!プロジェクトが紹介された。

宇野:2015年、リクルートグループは「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」というビジョンのもと、グループ横断で「iction!(イクション)プロジェクト」を立ち上げました。

iction! プロジェクトでは子育て世代や、産業界、行政・NPO等と協力し、「子育てしながら働きやすい世の中づくり」の取り組みを推進しています。その取り組みの一つとしてGrowth Hack for Womenプロジェクトは展開されています。

http://www.recruit.jp/company/csr/contribution/iction/

つづいて、リクルートジョブズが、iction!の取り組みにおいて、ママグロースハッカーの養成を支援することになった経緯や今後の期待について語った。

宇野:グロースハッカーは、場所や時間の制約がなく、自分のペースで仕事をすることができて、自分のデザインによる改善効果で評価されます。子育て中でもやりがいのある仕事をしたいと思っているママにとっては、理想的なはたらき方になりえると思っています。ママグロースハッカーという、素敵なはたらき方を広く知ってもらい、育児と仕事を両立できるはたらき方の選択肢の一つとしてもらいたいと思っています。

ママ向けWebグロースハッカー養成講座は、官民共同の創業特区プロジェクトとしてスタート

2015年5月21日、福岡市の創業特区プロジェクトとして、リクルートジョブズ、デジタルハリウッドSTUDIO福岡、Kaizen Platformの3社が中心となり”Growth Hack for Women”プロジェクトがスタートした。そのプロジェクトの中心となったのが、ママ向けWebグロースハッカー養成講座の開講だ。

宇野:ママ向けWebグロースハッカー養成講座では、Webサイトの制作、デザイン、プログラミングまで、グロースハッカーに必要なスキルや知識を8ヶ月、250時間の講座を通じて学びます。修了課題では、実際に企業のサイト改善デザインを作り投稿することができるようになります。

ママ向けWebグロースハッカー養成講座の受講生募集広告。多くの受講生が直感的に、「これだ」と思い受講を申し込んだ。

 

 ママ向けWebグロースハッカー養成講座のカリキュラム

卒業後の就業支援までをシームレスに

卒業後は、リクルートジョブズからのサイト改善案件依頼の他、Kaizen Platformのシステムに掲載されているクライアント企業のサイト改善案件からも、自分が興味が持てる案件、自分のスキルで改善できそうな案件を探し、すぐに改善案を投稿することができる。グロースハッカー養成講座で学んた知識やスキルをフル活用できる理想的な就業支援の環境が整っている。

宇野:それでは、昨年、ママ向けグロースハッカー養成講座を卒業し、現在はママグロースハッカーとして、クライアント企業のサイト改善をばりばりこなしている牧本玲子さんと平野実子さんにご登壇頂きます。 司会は、デジタルハリウッドSTUDIO福岡の高橋校長にお願いします。高橋校長には、Web制作もデザイン経験もないママを8ヶ月間で「稼げる」グロースハッカーに育てるという、前例のない講座カリキュラムを作っていただき、2016年の5月には養成講座1期生を一人前のグロースハッカーとして送り出していただきました。

ママグロースハッカーの一日。ライフ&ワークスタイル

デジタルハリウッドSTUDIO福岡 校長:高橋氏

高橋校長:デジタルハリウッドSTUDIO福岡の校長をしております高橋と申します。こちらのお二人は、ママ向けWebグロースハッカー養成講座1期生の牧本玲子さんと平野実子さんです。まずは、お二人のプロフィールをご紹介させていだきます。

牧本玲子さんは、熊本にお住いで、14歳の息子さんがいらっしゃいます。講座には長距離バスで通われていました。グロースハッカー養成講座の卒業を目前に、熊本地震に遭われて、しばらくの間、グロースハッカーとしての活動ができない期間がありました。被災から半年後、養成講座のクラスメートからの応援とサポートを受け、2016年10月からはグロースハッカーとしての活動を再開されました。

次に平野実子さん。現在6歳と3歳の娘さんがいらっしゃいます。WebデザインやITは完全な未経験者でした。フリーランスとして人気のベビーマッサージ講師でありながら「在宅で仕事ができれば、もっと子供と一緒に過ごせる時間が増やせるはず」という思いで、講座を受講されました。

これまでは、どんな仕事をされていましたか?

宇野:まずは、お二人がグロースハッカーになる前のお仕事の経験を聞かせていただけますか。

玲子さん:私は、新卒で家電メーカーに就職しプログラマーの仕事をしていました。とても忙しい職場でしたが、自分のつくった製品が世界中で使われていることにやりがいを感じていました。 結婚を機に退職して専業主婦になりました。専業主婦になれば楽しい生活が待っているだろうと思っていたのですが、平和な毎日に飽きてしまって、また、プログラマーの仕事を見つけて再就職しました。

子供が生まれたときには、育児休暇を取って、その後、時短勤務の条件で復職することができました。しかし、仕事が忙しくなってくると時短勤務のはずが、残業しなければならないことも徐々に増えてしまいました。遅くまで働いている同僚を残して職場を離れることも、お迎えの時間に遅れて保育園の先生と子供を待たせていることも、申し訳なくて、毎日とてもつらい気持ちを抱えていました。

ある日、残業で遅くなってしまい、急いで保育園に駆け込むと、明かりが灯っていたのは職員室だけで、その明かりの中に先生と子供がぽつんと佇んでいるのが見えました。そのとき「もうこの生活を続けるのは無理だ」と思い、退職することを決めました。仕事と育児を両立することの難しさにくじけながらも、心の中では、やりがいを持てる仕事がしたいなぁと思っていました。

ある日、知人から「こんなのがあるんだよ」とママ向けグロースハッカー養成講座を教えてもらったんです。すごく面白そうだなと思いました。何よりも、「グロースハッカーになりたいというママたちと知り合いになったら。すごく楽しいに違いない」と思い、受講の申込みをしました。

ママグロースハッカー:牧本玲子さん

 

実子さん:私は独身時代は、イベント会社で企画運営の仕事をしていました。その後、20代後半になってからは派遣社員としてさまざまな企業で働いていたんです。そんなに真面目に仕事をしていたというタイプではなかったと思います。

1人目を妊娠した際に、つわりで電車に乗って職場までたどり着けなくなってしまいました。「このまま仕事は続けられないな」と思って退職しました。

出産後、子どもが1歳のときに福岡に引っ越したのですが、周りに知り合いがいなくて、とてもさびしい思いをしていました。福岡は転勤族が多いので、同じように孤独な思いをしているママはたくさんいるはずと思い、ベビーマッサージ教室をはじめました。

ありがたいことに、ベビーマッサージの仕事はどんどん増えていったのですが、その一方で子供と過ごせる時間が減ってしまいました。「自分は子供と過ごす時間を大事にしたかったのに、これじゃ駄目だ」と感じました。

その頃に、たまたま、ママ向けグロースハッカー養成講座の広告を目にしたんです。「時間と場所に縛られないあたらしい働き方」という言葉に「これだ!」と反応して応募したんです。

ママグロースハッカー:平野実子さん

 

ママグロースハッカーの1日のスケジュールは?

高橋校長:お2人は、普段どのようなスケジュールで1日を過ごしているのでしょうか?

玲子さん:私は、朝起きて家事をした後、10時くらいからグロースハッカーの仕事をします。その後、お昼を挟んでから仕事を再開して、子供が帰ってくるまで作業。でも、この時間はお腹いっぱいで眠くなってしまうので、けっこうさぼりがちです(笑)。 子供は中学生なので帰ってくるのは夕方です。食事を終わらせてから子供は塾に行くので、その間にまた仕事をしています。

実子さん:私はまだ子供が小さいので、まずは起こして保育園に送り届けてからグロースハッカーの仕事を開始します。10時くらいにパソコンの前にたどり着くことが多いですね。この時間帯は、オリエンシート(※)と呼ばれる案件の企画書のようなものを読みこんだり、軽い作業をこなしたりすることが多いです。

昼食を挟み、午後からベビーマッサージ教室に行きます。終わったら再びパソコンの前に向かい、手を動かしてデザイン作業にとりかかります。

夕方6時に保育園のお迎えに行き、その後がすごく大変な時間です(笑)。ご飯を食べさせて、お風呂へ入れて、片付けをして、洗濯をして……全部終わるのが夜の10時くらい。その後、またパソコンに向かいます。みんな寝静まっているので、この時間帯が一番集中できるんです。お布団の中で子供と川の字になって、パチパチしています。

(※)オリエンシート:クライアント企業から提示されるサイトの改善案件(オファー)に関する情報が書かれた資料。ページの修正可能な範囲や、訪問ユーザーの内訳や、現状の課題などが書かれている。参考:Kaizen Platformヘルプセンター「オリエンシートの作成方法/確認方法

家事をしながら、グロースハッカーの仕事をする?

高橋校長:お二人とも、かなり細切れで仕事をされていますよね。なにか工夫をしていることはありますか?

玲子さん:私はオリエンシートをまず読んで、案件の内容を頭に入れた後、家事をしながら改善のアイデアを考えています。サイトの改善は、初めてそのページを見たときの印象や疑問点が重要だと教わっているので、改善対象のページをずっと見ているのではなく、洗い物をしながら、どうしたらあのページはわかりやすくなるかなぁと妄想するのがいいんです。

実子さん:私も案件に取り掛かるときに、まずオリエンシートを読みこんでおく癖をつけています。それと、「今日は1本デザインをつくる」と決めたら、「この時間までにこれをしておかないと完成できない」という感じにスケジュールを逆算して行動するようにしています。

高橋校長:実子さんは第1期の卒業生の中で、もっとも多くの改善案を投稿していて、卒業してからの9ヶ月ですでに投稿件数は100件を超えています。自分でグロースハッカーをしているとわかると思いますが、100の改善案を作るのは、すごいことです。にわかには信じがたい数字ですよね。

宇野:最後になりますが、お二人にとってグロースハッカーの仕事とはどのような意味があるものでしょうか?

玲子さん:とてもやりがいのある仕事だと思っています。4月の地震で被災して、仕事が手に付かない期間がありました。被災のショックに加えて「また仕事を諦めないといけないのか」と思うとさらに落ち込んでしまいました。しかし、被災から半年経って、身の回りが落ち着いてきたころ、養成講座のクラスメートや高橋先生からたくさんの励ましをもらって、グロースハッカーの仕事に復帰できたんです。ほんとうに嬉しかったです。今は、グロースハッカーという仕事に熱中できることが本当に幸せです。

実子さん:在宅の仕事で仕事量が調節できるし、やればやるだけ評価されて収入も増えるという、私にとっては理想的な働き方だと思います。 ベビーマッサージの仕事は、午前と午後で2、3時間ずつのカリキュラムになっているので時間が細切れなのです。そのすき間に、家でできる仕事がないかなぁと、ずっと思っていました。

私は子供のときに鍵っ子だったので、真っ暗な家の中に帰るのがすごく怖くて何回も泣いていたんです。自分の子供が帰ってきたときには、いつでも「おかえり」って言ってあげられる働き方が理想なんです。

宇野:お二人とも、どうもありがとうございました。はたらきたいママにとって、グロースハッカーは、柔軟性のある働き方ができて、成果を上げた分だけお金も稼げる素敵な職業です。それを多くに方に知っていただきたいと思いお二人をご紹介させていただきました。お二人のようなステキな働き方をしているママが世の中にもっと増えてほしいと考えています。

ママ目線でのサイト改善のニーズは大きい

今日の”ママ”は、ショッピングだけでなく、子供の習い事、家賃の支払い、不動産探し、美容・健康など、さまざまな場面で、さまざまなインターネットのサービスを利用している。なにより、家庭の財布を管理している。一方、企業側には、ママ目線でWebサイトの使い勝手やわかりやすさを改善できる人も体制も整っていないのが実状だ。

ママ目線でWebサイトやサービスの問題点を見つけだし、その問題の改善案まで制作できるママグロースハッカーの価値は非常に高く、市場の需要には大きなポテンシャルを感じた。ママグロースハッカーの活躍を応援したくなるセッションであった。

グロースハッカーアワード2017 from Kaizen Platform, Inc. on Vimeo.