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周りから嫌われて当たり前の世界。”しつこさ”が無ければ問題は解決しない ーースドケンとビズリーチ丹野氏で「プロダクトマネージャー」を語る(後編)

→ 前編:機能や価格帯ではなく、まずはプロダクトの勝ち方を議論すべき。

技術面の知識だけでなく、マーケティングの素養も必要とされるプロダクトマネージャー(PM)。一人で広い範囲をカバーしなくてはならないため、現役PMの悩みは様々。

スドケンとビズリーチ丹野氏によるトークセッションの後編では、会場内の現役PMから二人に質問が寄せられます。「組織の変化は?」「拡大期の痛みとは?」「PMに必要な資質は?」。企業の枠を超えた、プロダクトマネジメントのノウハウが詰まっています。

チーム内にセールスやカスタマーサクセスもメンバーとして入れる。そうすれば細かいステークホルダー間の調整も必要ない

須藤憲司(以下、須藤):じゃあ、質問いっぱいあったので、今日、逆に「これ聞きたい!」というのがあれば優先したいと思ってます。もしご質問ある方がいれば挙手をお願いして、なければ先に進みます。いかがでしょうか?……ありがとうございます。

質問者:プロダクトやマーケットが大きく変化する中でビズリーチさんもKaizenさんもかなり人数が増えていったと思います。そこでプロダクトを支える組織がどういう風に変化してきたのかってところと、PMがそれにどう関わって行ったのかというところを教えていただけないでしょうか。

須藤:我々は100名ぐらいなんですけど、プロダクションって言ってエンジニアとプロダクトの人たち全部合わせて30名ぐらいです。

どんな感じで増えていったかと言うと、だいたい従業員数の3~4割の人がプロダクションの人って言う感じで増えてきていて、結構早い段階でチーム制にしていったと思います。PMとエンジニアっていう組み合わせで基本的にはやっていくというかたちでした。

チームの中でそれぞれ持ってるテーマが違うって言うのがうちのやり方です。今人数増えてきたんで6人~8人というチームで構成しています。あと、開発の中でいくと当然UI/UXとかインフラとかQAみたいなのは共通でいるって言うチーム構成ですね。

丹野瑞紀氏(以下、丹野):ビズリーチの場合は、以前は事業ごとにチームが構成されていてその中にプロデューサーという人間がいて、プロダクトの企画を含め様々な企画業を進めるという体制でした。

この8月からPMを職能として明確に分けまして、サービス企画本部というものができたのもこの8月なんですね。現状だとサービス企画本部の下にプロダクトマネージメント部とデータサイエンス部というのがありまして、総勢20名ぐらいですかね。

製品も増えてきて複雑性も増してきて、事業の成長に伴いステークホルダー間の調整が必要になってくる中でPMの専門組織を作って育成するというのが成立したという経緯があります。

須藤:あと、うちが工夫したことは、プロダクションのチームの中に、セールスやカスタマーサクセスの担当者が入ってることです。要は、絡みそうなプロジェクトの中に部門の代表者をアサインしてますね。

代表者と言っても必ずしもマネージャーとかやってるわけじゃないです。調整とかってめんどくさいじゃないですか。開発プロジェクトの中にその人たちをおいて、「お前らそこに決まったんだったら調整してね」っていうのを出張ってやってもらってるっていうのはやってます。

丹野:弊社も似たような運営の仕方で、職能別の組織ではあるんですけど、プロジェクト単位でチームを構成しているマトリクス型の組織となってますね。

職能ごとに分かれちゃうと部門の壁出て来ちゃうので、そこはプロジェクトという単位で一体となってデザイナーもエンジニアもPMもマーケターも一緒になって議論して製品作っていくっていうのは大切にしてますね。

解決したい問題を定義すべき。ぱっと見て情報の構造が分からないUI/UXはイケてない

須藤:ちなみに丹野さんはUI/UXは全部見てますか?

丹野:一応見てます。最近だとなかなか守備範囲が広くなって見切れてないんですけど、目を通すようにしてますね。

画面設計はまずPMが設計してそれをデザイナーがブラッシュアップしていくっていうプロセスになるんですけど。最初にPMが作った段階のワイヤーフレームもきちんとチェックしますし、デザイナーがブラッシュアップしたのも見ている。

ユーザーの視点で見たとき、きちんと課題解決になっているのかというのは見ています。

須藤:僕はCEO兼PMなのでPMだけやってると会社が倒産しちゃうんですね。なので、結構絞らなきゃならなくて、何をやったらプロダクトとしての質に貢献できるのかってすごく考えた結果、僕が深く関わった方がいいと思ったのは、クォーターでどういうテーマでどういうマイルストーンでやるか決めるところと、あとUIなんですね。

リリースするときに「これで行きますよ」っていうUIを見る定例が毎週2回ぐらい入ってて、そこでレビューして「嫌だ」とか「こうしてくれ」っていうのを言ってます。要はそこコントロールできると、かなりの部分がコントロールできるなというのが感じてることではありますね。

丹野:どういう段階で? リリース前とかですか?

須藤:いや、色々な段階で入れてますね。ただ、ワイヤーは見てないですね。いや、見てはいるけど、うちAxureっていうUIソフト使ってて製品に近い感じでプロトタイプが出てくるんで、それを見ていろんなこと言ってますね。「分かりにくい」とか「色が暗い」とか。どんなフィードバックしてます?

丹野:結構細かいところまで見ますね。「このボタン大きすぎるんじゃない?」とか。ラベルとかこだわりますね。ぱっと見て情報の構造が分からないって言うのが一番良くないと思ってます。「これ何する画面だっけ?」とか「この画面でユーザーさんにどう貢献したいんだっけ?」とか設計者が押さえられてるかどうか確認してます。

須藤:画面単体で作ってると見えないことを、結構指摘できるのでそこは価値あるんだろうなと思ってやってますけどね。

丹野:レビュー依頼は私のところに本当にたくさん来て、レビューしていくんですけどやっぱり、「これでいいですか?」とだけ聞かれるとなかなか回答できないですね。

須藤:何と聞くといいですか?

丹野:「この画面に来た時に、このユーザーはどういう課題を解決したいのか」という解決したい課題とセットでレビューに回してくれないと、複数の製品を見ていると分からないんです。

そもそも何を解決するのかって言う問題の定義ができていない状態で、「この画面で良いですか?」ってなるとそのまま差し戻してしまうことが多いですね。今日聞いているメンバーにもいますけど(笑)。

須藤:質問にお答え出来ていたでしょうか。……はい、どうぞ。

周りから嫌われてこその仕事。しつこさが無ければプロジェクトは成功しない

質問者:先ほどPMに必要なスキルや知識を教えていただいたんですけど、資質的に向いている人向いてない人っていますか。差し支えなければ、丹野さんと須藤さんはバックボーンそれぞれ違うので、エンジニアリングサイドから見た部分とビジネスサイドから見た部分という面で違いがあればお伺いしたいなと思います。よろしくお願いします。

須藤:僕、超つまんないことを言うと、パッションがないと絶対ダメだと思うんですよね。そのプロダクトが解決したい世界観とかテーマとかに情熱が湧いてないと、相当しんどいと思ってて。逆に情熱湧かないテーマだったらPMやっちゃいけないんじゃないかというぐらい情熱が必要と僕は思ってます。

はっきり言うと、四六時中プロダクトのこと考えてるわけですよね。それが苦だったら結構きついと思うんですよね。また、全然違うときに「あ、これ使えるじゃん」って思うのって好きだからじゃないかと思ってて。

なので僕は好きとか情熱が湧くって言うのはすごい大事な資質じゃないかと思います。

丹野:もちろん情熱を持って問題に取り組むって言うのも大事だと思うんですけど、しつこさっていうのも大事だと思うんですよ。やっぱり問題ってそう簡単に解決できないので、「とにかく絶対に解決するんだ」という執念を持って取り組めるかどうかっていうのは大事だと思いますね。

やっぱりそれは、パッションがあるかどうかに結び付いてくると思うんですけど。

須藤:僕、丹野さんのブログで、スティーブジョブズが問題に取り組み始める時はすごいシンプルな問題に見えるんだけど問題って始まるとすごい複雑で、数多のプロセスにノーを言って、エレガントな解決策をやってんだというのがあったじゃないですか*。あれですよね。
*丹野氏ブログ『小さなごちそう』「プロダクトマネジメントに関する5つの誤解」

丹野:やっぱり泥臭い実行フェーズをやる覚悟があるかというところだと思うんですよね。企画書書いて終わりというわけじゃなくて、企画書できてからが本番だという覚悟で、実行フェーズで起こってくる問題を泥臭く解決できるかというところだと思うんですよね。

須藤:皆さん実感していると思うんですけど、はっきり言うとPMは他の領域に土足で踏み込めないときついっていう感覚があります。目的を達成するためにありとあらゆることをやるっていうことだと思うんですよね。

それはやっぱり情熱必要だし、嫌われても知りませんというのも必要だし。どこかで粘り強さや諦めないって言うのが必要だと思っております。

丹野:でも僕と須藤さんって大分性格違うと思うんですよね。

須藤:違いますね。全然違いますね。

丹野:僕は内向的な性格なんですけど。

須藤:僕も内向的なんですよ(笑)。

丹野:人と友達になるのって得意そうじゃないですか。

須藤:いや、僕こう見えてめっちゃ苦手なんですよ。友達少ないことで有名なんで(笑)。

ただ、出自も違いますけど、アプローチ違おうが何しようが、結局そのプロダクトを何とかしたいと思っている人の元に寄ってくるんだと思うんですね。

後は、資質で言うと、助けてもらえる奴は有利じゃないですか。僕はそこはすごく自信あるんですよ。「しょうがねえな」って思われるような(笑)。「そこまでやりたいの?」「じゃあ何とかするわ」みたいな。ないですか、そういうの。

丹野:うーん、そこはやっぱり須藤さんの人徳かなと思いますけどね。

須藤:本当ですか。丹野さん、すごく人徳ありそうなのに(笑)。僕どちらかと言うと欠陥人間だと思われてるので(笑)。……はい、じゃあどうぞ。

チームの問題を解決する万能薬はない。いかに”チームで乗り越えるか”を考える方が建設的

質問者:須藤さんにお伺いしたいんですけど、拡大期に結構痛みが出たって言う話があったんですけど、僕も今拡大期のフェーズにあります。拡大期に生産の質が下がったとかそういう話があったと思うんですけど、具体的にもっとどんなことがあったって言う話や拡大のときに出た痛みの話、拡大期のフェーズの話を教えていただければと思います。

須藤:たぶん大きいプロダクトにしていく過程でPMが経験していくことだと思うんですけど、例えば「スピードを優先するのか、クオリティーを優先するのか」の問題っていうのは、常に付きまとうわけですよね。

例えばですけど、我々に起きた問題は、クオリティーが上がらなくてQAのプロセスが全然できていなかったので、リリースするたびにバグが出るみたいなのが多発したことです。

その時に何をやったかと言うと、一回開発全部やめて、とにかくドキュメントを書くとかQAプロセスを作るとかテストの自動化プロセス作るとかということに1か月全部充てるといったことをやったりしましたね。

そこまで行くぐらい、レガシーというか技術的負債が積まれまくって、これこのままやってたら開発のスピード全然上がらないじゃんって状態になった。で、新規ローンチの開発全部止めますって言って営業の人たちに「1か月何も答えないんでよろしく」みたいなことをやりました。

後は、プロダクトを開発するときに出る痛みとかあると思うんですけど、僕結構痛かったのが、今までプロダクトの全体像をみんなが把握していたんだけど、人が増えていくと「ここしか分からない」って人がいっぱい出るんですよ。そうすると別のところ触らなきゃいけないってときに、えらく大変なんですよね。

「これ分かる人いないなあ」とか「この人とこの人に頼まなきゃいけないけどどうしよう」とか。これは結構痛かったですね。痛いというか、起きるべくして起きるんですけど。

質問者:そうですね。全体を見れる人がいないっていうのも問題になったんですね。

須藤:でも人が増えていく過程においては全部を見れる人って減りますよね。僕も全然見れてなかったです。僕そもそもプロダクトを見ていなかったので。「ごめん、ちょっとプロダクトやっといて。俺、今資金調達しないとまずいから」みたいなことをやってたわけです。

開発チーム自体も、多分小さいチームでやってるときって皆さんある程度全部やってること分かると思うんですよ。なので、分からなくなるって構造になると、この時多分痛いんじゃないですかね。

要は自分が書いたコードじゃないものを触らなくちゃいけないし、自分が書いたコードを誰かが触るってことが起きてくるわけですね。それも、顔が分かってるやつのなら良いんだけど、「これ誰が書いたんだよ」ってやつになってくるとサービスの品質に影響が出てくる。

なので痛みって言っても分かりやすい痛みじゃなくて「何か来てるな」っていうじわじわ来るって感じじゃないですかね。

質問者:コミュニケーションってところで、ツールに限らずルール化したり明文化したりでコミュニケーションロスを減らすっていうところに時間かけたというお話でしょうか。

須藤:それももちろんあります。ただ、それだけじゃ解決しないですね。エンジニア出身の方いっぱいいらっしゃるので分かると思うんですけど、自分が把握できているものを触るときと、自分が把握できていないものを触るときってかなり違いますよね。

あれですよ。あれがめっちゃ起きるみたいな感じです。なのでツールが増えようが何しようが、そういう「触る恐怖」とかリリースするときの「大丈夫かな」って言うのはチームで乗り越えていくしかないんじゃないかなと思っていて。ある程度失敗も許容しながら、とはいえどうやってやっていくかっていうのをフェーズごとに頑張っていくしかないんじゃないかなと思いますね。

僕は万能の解決策はないと思っていて、チームでどう乗り越えるかじゃないかと思いますね。……では時間がないので最後の質問を。

プロダクトに疑問を感じたときはチャンス。市場そのものを問い直し、パラダイムシフトを起こせるかもしれない

質問者:プロダクトマーケットフィットに関して、自分たちが今やってるプロダクトが芯食ってるかどうかの感覚をどうやって持ち続けられるかっていうのがありまして。

今やってるサービスが半年ちょっとぐらいのサービスなんですけど、最初の時は自分でサポートするしお客さんと直接話すし、すごくクリアにお客さんのイメージが出来ていたんです。

しかし、だんだんスケールしていくにつれてカスタマーサポートチームからの声であったりセールスチームからの声になったりで、自分で本当に芯食ってるのかなって不安になるときもあって。そうするとチームに対して「こうだ!」って言いきる力が弱くなってる気がします。

そういう場合はどういう工夫をされているのかっていうのをお聞きしたいです。

名称未設定

丹野:そうですね。そこは私も日々悩んでますけど、データで見て行く必要があるのかなって思うんですね…………私も回答がスパッと出てこないですね。

須藤:僕が何をやってるのかでいくと、これを言うとスドケンは性格が悪い奴だと思われるんであんまり言いたくないんですけど、お客さんのところに行くってすごい大事だと思うんですよ。

で、どういう製品を作られているかによると思うんですけど、ユーザーを見るっていうのがあるんですけど、ユーザーを見るときにユーザーそのものを評価できないといけないなと思ってて。

「こいつは正しいユーザーなのか」とか「この人のユーザーとしての質はどのくらいなのか」っていうのをまず特定しないとダメなんだと思うんですね。

要はターゲットじゃないとかこの人の言うこと聞いてもしょうがないというユーザーに時間を使ったりフィードバック貰っても正直プロダクト良くならないと思うんですよ。

ドンピシャのターゲットで、かつクオリティーが高いなと思う人の声を聴かなきゃいけないので、声を聴けば良いと思うんですけど、聴くときにユーザーの質をイメージできるといいんじゃないか。それをするためにカスタマーとたくさん会うっていうのが、僕自身はやることかなと思いますね。

丹野:やっぱりKPIがまったく動かなくなってくるとしんどいですよね。そういうときってどうされます?手ごたえが感じられなくなってくるので。

色々施策は打つんだけれども、KPIとしては例えば「UUが全く伸びない」だとか、「かけた開発コストに対してリターンが得られなくなってくる」とか。そんなもどかしさみたいなものを感じられてるんじゃないかと思うんですけど。

「芯食ってなさ」ってどういうところから得られたんでしょうか。

質問者:そうですね。KPI的な伸びもあるんですけど、営業のチームとの関係も不安の要素の一因になっているっていう感じです。

丹野:そういうことであると、実際にお客さんに会って、確認するって言うのが実感を持つ方法としては一番いいのかもしれないですね。

須藤:あとさっき丹野さんの話にすごく大事なヒントがあったと思って。買わなかったお客さんに聞くんじゃないですか? それが正しく理解されてるんだったら買わないし、「この人伝わってない」ってなったら違うんじゃないですかね。

あと、買って使ってもらった後にフィードバックをもらうっていうのも、もちろん手でしょうし。

……そうですね、KPIが上がらなくなったら僕の場合、マーケットの方見に行きますね。要は、市場とか仮説があったニーズっていうのがどれほどのものだったのかと言うことを見に行かないと「あれ、意外と小さかったかも」っていうのは全然あると思うんですよ。

でもそれって別に悪いことじゃなくて、「だとするとどうしたらいいんだっけ」という問いに立ち返っていくと思います。小さかった仮説の横にでかい問いが転がっているっていうのが僕の過去の経験なので、疑う先を多少広げてみるっていうのはあるのかなと思います。

丹野:確かにそうですね。あるいは「キャズムを超える」じゃないんですけど、初期ユーザーを獲り尽くしてしまって、新しいアプローチを変えないとユーザーが取れないっていう時期に入りつつあるのかもしれないですね。

須藤:なんかあれですよね。巨大な潜在的競合ってあるじゃないですか。直接の競合じゃないですけど代替手段って山ほどあるので。それを見てみるって言うのは1個ありますね。

丹野:なるほどね。例えば新幹線の競合が、駅前のホテルみたいな。

須藤:それは勝ちづらいよねっていう。どうやって勝ったらいいんだ、みたいな。

無消費のユーザーとかそういうのですよね。ニーズがあるんだったらまだいいんですけど、ニーズそのものを感じてないとかああいう人たちって何なんだろう、どうやって拡大していけばいいんだろうとか。

逆に言うとそこを掘り起こせるぐらい強い何か、パラダイムシフトを起こせるとドカンとひっくり返るってことなので。逆にそうやって止まってきたときはチャンスじゃないかなと思ってて。市場そのものを問い直すタイミングなのかなと思いますけどね。

……そろそろ時間ですか? ほかに質問ある方いらっしゃると思いますが、いったんここで締めさせていただきます。ありがとうございました。